いわむらトピックス

【報告】空き家利活用実践ワークショップ第3弾

8月24日、第3回目となるワークショップは、第1回に不用品整理を行った家屋に会場を戻し、開催。

前回、不用品を整理し、出現したスペースを見て、「早速何かに使ってみたい」という声があがり、岩村のディープな姿をたくさんの方に見てもらう絶好の機会として、おかげまつりでこのスペースをオープンにしてみることを計画しました。

想定としては、「壁板を張って、棚を設置する」だけで何とかなるかな、と楽観視してましたが・・・

(イメージ図。あくまで)

 

この部屋、四隅の土台や柱が腐り、雨水が浸入してきている他、強度的にも不安があり、まず腐った土台を入れ替える必要があることがわかり、これをどうにかしないと部屋として使えない・・・

しかも隣の家屋が密着し、外側からの作業が物理的にできない町家ならではの事情により、雨水の浸入を防ぐには、基礎を高くする他にありません。

 

なにやら大事になりそうな予感がひしめく中、今回は、基礎と土台再生の準備として、壁を取り除き柱を浮かした状態で固定する作業を行いました。

【作業①】 壁を取り除く

基礎を上げ土台を入れ替えるために、今の土壁をある程度取り除くことが必要になります。

土壁はバールで突くと、あっけないほどにぼろぼろと崩れます。

中からは竹をわらで編んだ格子状の下地が出てきました。

監督に来ていただいた大工さんから、土壁は調湿機能に優れ、日本の建築にあっているとの説明がありましたが、このような手間がかかっているんですね。これを作るまでも大変だったんだろうな~。

とはいえ、基礎をあげるためには取り除かざるを得ないので、思い切って壁に穴を開けていきます!

この壁の他にあと2面の壁の下部を崩し、次の作業を待ちます。

【作業②】トタン壁の撤去等

土壁の撤去中、壁の複雑な構造により、『隠し物置』のようなスペースの存在が明らかに。しかもそこには永年の雨水がたまったドラム缶が鎮座。土台の入れ替え作業にも干渉してしまうので、この隠し物置スペースを仕切っていたトタン壁も撤去することに。町家特有の隣と隙間のない構造により、狭いスペースでの作業を余儀なくされました。もちろんドラム缶はヘドロ状になった水を抜いて撤去。この日一番のヘビーな作業を、スタッフN氏が奮闘してやっつけてくれました。

  

わかりずらいですけど、この裏に隠し物置がありました。     N氏が果敢に飛び込み・・・、

 

水を吸出します!                      取り出したドラム缶。何だか瘴気が抜けたかのようです。

 

さらにトタン壁をはがし・・・               撤去後。これもわかりずらいですが、お隣さんの壁が見えてます。

【作業③柱の固定】

そして本日の最終工程。柱を切り上げるために、柱を固定し少し浮かせた状態で保つ作業です。これをしないと柱を切ったときに、支えるものがなくなってしまい、家が傾いてしまう、とのこと。

この作業の主人公は、NPO法人いわむらでんでんけん代表の鈴木繁生さん。ホットいわむら副会長でもあり、でんでんけんでは町家などの伝統的な工法等を研究し、伝建地区の保存活動等に取り組んでいます。

さまざまな大きさの木材を運びいれて、壁に沿ってやぐら状に3組くみ上げます。そこに長い木材を横たえたら、今度は木材を建物の柱に打ち付けて固定、さらにワイヤーでしっかり縛り付けます。

 

 

ワイヤーにゆるみのないように、くさび上の木材を打ち込んだら・・・

 

ジャッキで柱ごと建物を浮かせます!!!

 

見た目に柱が浮いているように見えませんが、確実にみしみしと土台から柱が離れようとしている音がしていました。これで柱を下で切っても、家が傾くことはありません。

この作業には、実に3時間弱の時間がかかっています。古い町家の再生、と一口に言っても、土台を直す準備をするのに、これだけの作業が必要なのには、驚きました。素人には難しいこの作業を間近で説明をしてもらいながら見学できただけでも、非常に興味深いものがありました。

さらに、隣の家屋との密着感、ほとんど壁を共有しているような状況が、さらに再生のハードルを高くしていることもよく理解ができました。

次回9月14日のワークショップでは、主に壁棚の製作を行う予定ですが、状況によって色々な作業が発生する場合があります。ご興味のある方は是非ご参加ください!

9月14日ワークショップ第4弾案内≫

【番外編】

今回のお家にはまだまだ以前の生活の名残があり、今となっては珍しいものもあります。

そこから見つけたのがこれ。

今ではお目にかかれない、家具調のステレオ。LPとラジオしかありません。おそらく昭和40年代のもの。残念ながら配線が死んでいて、音を聞く事ができません。

が、これの再生にもチャレンジしようと、スタッフK氏が家に持ち帰りました。

果たして、どのような再生が施されるのか?そして、今の時代LPの使い道があるのか?色々と企画中です!今後の情報にご注目ください!

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